絶滅危惧のクロマグロ
産卵場の漁獲規制を急げ

今年が資源回復のラストチャンス


勝川俊雄 (かつかわ・としお)  東京海洋大学准教授

1995年東京大学農学部水産学科卒。97年同大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。2002年同大学大学院農学生命科学研究科博士号取得(論文博士)。三重大学生物資源学部准教授等を経て15年4月より現職。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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6月からクロマグロが日本海沖で産卵を始める。日本では例年産卵のために集まってくるクロマグロを巻き網で一網打尽にし、昨年ついに絶滅危惧種の指定を受けた。残された時間は少ない。今年は漁獲規制によって資源を回復させるラストチャンスといえる─。

 太平洋クロマグロ(以下クロマグロ)が激減し、漁業消滅の危機を迎えている。例年6月から8月にかけて、産卵のために日本海沖へ集まるクロマグロを巻き網船団が集中的に漁獲するが、「今年も例年通り行われたら、日本海のクロマグロはいなくなる」という声が漁業者からあがっている。

 絶滅を危惧するのは漁業者だけでない。2014年11月に国際自然保護連合(IUCN)が、クロマグロを絶滅危惧種に指定した。クロマグロの非持続的な漁獲・消費に対して、国際社会からイエローカードが突きつけられたのだ。IUCNはプレスリリースで、クロマグロ減少の背景には、アジアの食品需要の高まりがあると指摘している。クロマグロの主な生息域および産卵場は日本の排他的経済水域(EEZ)内にあり、漁獲および消費の大半は日本人によるものである。日本が名指しで批判されているに等しい状態だ。

絶滅危惧種にもかかわらず、実効性のある規制がない状況(AP/AFLO)
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著者

勝川俊雄(かつかわ・としお)

東京海洋大学准教授

1995年東京大学農学部水産学科卒。97年同大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。2002年同大学大学院農学生命科学研究科博士号取得(論文博士)。三重大学生物資源学部准教授等を経て15年4月より現職。

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