漁業者も加工業者も消費者も損をする
魚を小さいまま漁獲する日本


片野 歩 (かたの・あゆむ)  水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

日本の漁業は崖っぷち

成長する世界の水産業の中で、取り残されてしまっている日本。潜在力はありながらも、なぜ「もうかる」仕組みが実現できないのか。海外の事例をヒントに、解決策を探る。

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「海からの贈り物、大切に消費者へ」――。銚子の漁港のセリ場に貼ってある横断幕。3月14日、3月に入って初めてサバのまとまった水揚げがありました。数量約5,000トンの大漁です。2月26日に約500トン水揚げされて以来約2週間ぶりの水揚げでした。2月の水揚げのデータがキロ50円前後と非常に安い浜値(水揚げ地で取引される値段)であったことから、食用に向かない赤ちゃんサバが主体ということは容易に想像がついてしまいます。

 写真は3月14日に水揚げされた130g未満のサバですが、どれもこれもそろったように同じような200gに満たない大きさでした。実質的に食用の水揚げではないのでセリ場も活気無し。これらの大量に水揚げされたサバは、一般の売り場に並ぶことはなく、ハマチやマグロ等の養殖用の餌用主体として凍結されます。 

水揚げされる小型のサバは、消費者ではなく養殖の餌用に主に冷凍されます。水揚げされていたサバは150g前後がほとんど。このサイズはノルウェーでは食用以外は漁獲禁止。ノルウェーでは99%が食用ですのでこのサイズは獲りません

供給が増えても価格が安くならない? 

 2014年10月から今年の2月にかけて、日本近海の漁獲量は25万トン前後と前年同期比に比べて2割多くなっています。供給が増えれば、店頭でのサバの価格は安くなると思われますが、実際にはキロ400~600円と、前年より2~3割も高くなってしまっています。漁業者にとっては浜値が安く、加工業者や消費者にとっては購買価格が高くなっているのです。

 こうなってしまうのは、小さな魚の中から量が少ない価値のある大きな魚を取り出す作業をして、鮮魚や加工原料用に回さざるを得ないためです。買手の加工業者は、大きな魚の販売価格を上げる一方で、残りの魚の価格を下げて販売してバランスを取らねばなりません。これは他の魚種でも同様です。高級魚キチジでも、極少ない20cm程度の魚を小型(小さいので金魚とも呼ばれます)の中から選ぶので、一尾で一人前になるような大きさの魚は高く、その分、小型は安く販売されます。

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「日本の漁業は崖っぷち」

著者

片野 歩(かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

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