世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月23日

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 中国がフィリピンとの間での南シナ海紛争仲裁に応じないことについて、ウォールストリート・ジャーナル紙は、12月9日付の社説で「北京はその海洋侵略の怪しげな法的正当化をでっち上げている」と非難しています。

 すなわち、フィリピンは、スカボロー礁から漁民が中国に追い出されたのを受け、2年前に仲裁裁判に訴えたが、中国は、フィリピンの仲裁提訴に対し、仲裁参加を拒否し、フィリピンは交渉による解決という約束に違反した、としている。2009年に中国は、U字型の9点線で南シナ海のほぼ全域を囲む地図を公表し、「議論の余地ない主権」を主張している。

 今回中国は12月15日の中国側弁論の期限を前に、公式ペーパーを出した。これは仲裁の受諾や参加を意味しないとしている。

 中国の言い分は、この紛争は領土主権にかかわり、海洋法の枠外である、したがって仲裁裁判所には管轄権がない、ということである。しかし、そうではない。「海洋法は主権の分配をしない」というのは正しいが、フィリピンが求めているのはそういうことではない。フィリピンはその経済水域(EEZ)内での漁業その他の権利の確認を求めている。中国はスカボロー礁からフィリピンの漁船を追い出し、フィリピンの権利を侵害している。こういう問題の仲裁はまさに海洋法が行うべきことである。

 中国は根拠の薄弱な歴史的主張に依拠している。それは、国民党が1948年に引いた9点線であるが、その9点の経緯度も明らかではない。9点の場所も時期により異なっている。9点線地図発表後、中国は水域全域に主権を主張しているのか、土地だけになのかも明らかにしていない。中国は、戦略的あいまいさを好んでいる。

 フィリピンの仲裁要請だけでは不十分である。中国の侵略は国連仲裁では止まらない。中国は仲裁が進行する間にも、軍のプレゼンスを拡張し、隣国の領土に圧力を加え、新しい島を埋め立てて作るだろう。南シナ海の軍事化はシーレーンを脅かす。米国も隣国も、中国の野心を抑えるために、これまで以上の圧力を中国にかける必要がある、と述べています。

出典:‘China’s Line in the Sea’(Wall Street Journal, December 9, 2014)
http://www.wsj.com/articles/chinas-line-in-the-sea-1418170872

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 この社説は、南シナ海での中国の主権主張を批判している点では評価できます。しかし、フィリピンが提訴した仲裁裁判が、フィリピンの思惑通り成立するかどうかは分かりません。

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