世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月23日

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 インドネシアのアリフ・ハヴァス・オエグロセノ駐EU大使が、Diplomat誌ウェブサイトに6月14日付で掲載された論説で、最近のインドネシア・フィリピン間の海洋協定は南シナ海紛争に重要な教訓になる、との論説を寄せ、狭い国家利益を越えて、共通利益、公共財である地域の安定と安全保障を重視すれば、アジアは紛争防止と管理で世界のリーダーになりうるとし、中国に建設的態度を求めています。

 すなわち、1994年に開始され、2003年まで進展のなかったインドネシアとフィリピンの海洋境界交渉が最近妥結した。これは、南シナ海紛争国に重要な教訓になる。

 2003年12月、私(オエグロセノ)は、フィリピンとの海洋境界交渉を開始する任務を与えられ、その後、私の後任者により、交渉は今年5月23日に妥結、調印された。海洋境界交渉は忍耐と決意を必要とする。フィリピンとの交渉は、インドネシアとフィリピンが共に群島国家であり、国連海洋法条約の締約国であり、特に意味があった。

 フィリピンは、歴史的に1898年のパリ条約(米西戦争を終結した条約)の長方形の境界を持っていたが、隣国との境界ははっきりしていなかった。インドネシアは、その長方形の区域が国連海洋法条約に合致しないと主張した。双方にとり難しい問題はあったが、フィリピンが国連海洋法条約に則した立場を取り、問題解決に至った。

 私は2007年、サンゴ礁トライアングル構想(CIT:インドネシア、マレイシア、比、パプア・ニューギニア、東ティモール、ソロモン諸島の多角交渉)にも関与したが、6カ国は協力することに成功した。マラッカ海峡についても、インドネシア、マレイシア、シンガポールはより大きな利益のために協力した。

 南シナ海の権利主張者は、二つの教訓を得られる。第一に、国連海洋法条約が海洋境界を決める現行法だということである。1世紀以上の歴史を持つ長方形の地図が、海洋法と整合性を持つように出来るのであれば、1940年代半ばの「9点線」もそうされるべきである。「9点線」もパリ条約の長方形も一方的な権利主張で、国際法に基づかないという点で同じである。インドネシア・フィリピンの海洋境界合意は、一方的な地図は国際法に整合性のあるように変更される、という国家実行の出現を意味する。(注:国家実行の積み重ねが慣習国際法を作る)

 第二は、権利主張国は、海洋境界がないところでも、より大きな利益のために協力できるということである。CTIでは環境保護であり、マラッカでは海洋安全保障である。これは公共財として関係国が推進・保護すべきである。

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