「海からの贈り物、大切に消費者へ」――。銚子の漁港のセリ場に貼ってある横断幕。3月14日、3月に入って初めてサバのまとまった水揚げがありました。数量約5,000トンの大漁です。2月26日に約500トン水揚げされて以来約2週間ぶりの水揚げでした。2月の水揚げのデータがキロ50円前後と非常に安い浜値(水揚げ地で取引される値段)であったことから、食用に向かない赤ちゃんサバが主体ということは容易に想像がついてしまいます。
写真は3月14日に水揚げされた130g未満のサバですが、どれもこれもそろったように同じような200gに満たない大きさでした。実質的に食用の水揚げではないのでセリ場も活気無し。これらの大量に水揚げされたサバは、一般の売り場に並ぶことはなく、ハマチやマグロ等の養殖用の餌用主体として凍結されます。
供給が増えても価格が安くならない?
2014年10月から今年の2月にかけて、日本近海の漁獲量は25万トン前後と前年同期比に比べて2割多くなっています。供給が増えれば、店頭でのサバの価格は安くなると思われますが、実際にはキロ400~600円と、前年より2~3割も高くなってしまっています。漁業者にとっては浜値が安く、加工業者や消費者にとっては購買価格が高くなっているのです。
こうなってしまうのは、小さな魚の中から量が少ない価値のある大きな魚を取り出す作業をして、鮮魚や加工原料用に回さざるを得ないためです。買手の加工業者は、大きな魚の販売価格を上げる一方で、残りの魚の価格を下げて販売してバランスを取らねばなりません。これは他の魚種でも同様です。高級魚キチジでも、極少ない20cm程度の魚を小型(小さいので金魚とも呼ばれます)の中から選ぶので、一尾で一人前になるような大きさの魚は高く、その分、小型は安く販売されます。