World Energy Watch

2015年4月17日

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 2期目の後半に差し掛かりレイムダック(死に体)と呼ばれる状態になった米国の大統領は、レガシー(遺産)を通し、後世に名を残そうとするのが常だ。残りの任期が2年を切ったオバマ大統領も、無論例外ではない。4つのレガシーがあると報道されている。

 大統領の4つのレガシーのなかで、大統領が重視しているにもかかわらず、もっとも成果が残らない可能性が高いと言われているのが、気候変動、温暖化防止対策だ。次期大統領候補に名乗りをあげたヒラリー・クリントンはオバマの気候変動政策を支持しているものの、共和党の候補者が大統領になれば、葬りさられる可能性が高いが、その中には、米国政府系金融機関、輸出入銀行(輸銀)の途上国の石炭火力発電所建設への融資禁止も含まれている。気候変動に取り組む政策は「オバマの石炭への戦争」と呼ばれたほど脱石炭が中心の政策であり、他国の石炭火力も間接的に対象にしてしまったのだ。

(画像:istock)

AIIBが石炭火力へ融資を行わない選択肢はないはず

 この米国政府の石炭火力への融資禁止方針に右に倣えと、世界銀行、欧州投資銀行、欧州復興開発銀行も、相次いで石炭火力への融資を原則禁止した。途上国はBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)をメンバーとする新開発銀行を2014年に設立したが、その目的の一つは、欧米により禁止された石炭火力への融資にあるとの報道もあった。

 いま話題になっているアジアインフラ投資銀行(AIIB)の融資先には、今後新興国、途上国で建設が進む石炭火力も含まれることになる。石炭火力は今後の途上国のインフラ投資の大きな部分を占めることから、この分野への融資を行わない選択肢はAIIBにはないとすれば、オバマ大統領の米国政府が、この銀行への出資を行うことは難しい。米中の経済覇権の問題などもあり米国の参加は難しいとの見方もあるだろうが、石炭を支援する金融機関に脱石炭を推進する米国が関与することは現状ではありえないだろう。

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