世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年5月13日

 4月4日 -10日号の英エコノミスト誌は、イランの支援にもかかわらず、シリアのアサド政権は弱体化しつつある、と報じています。

画像:istock

 すなわち、3月28日、シリアでは、長い攻防の末、反政府勢力が北部の都市、イドリブを制圧した。内戦になって4年、反政府側が手中にした2つ目の主要都市だ。1つ目のラッカは、「イスラム国」(IS)が獲得し、カリフ国の「首都」にしている。

 反政府側が勢いづいていることは、アサド側の弱体化を示唆する。アサド、そしてイランとヒズボラは、西側の注意がISとの戦いに向けられているにも拘らず、今の支配領域を維持するのに苦労している。

 政府軍は、ヒズボラのおかげで西部では地歩を固めつつあるが、支配領域の東側はISに侵食され、南部では、イランやヒズボラがダマスカス周辺の防衛に注力しているため、穏健反政府勢力が徐々に優勢になりつつある。

 しかし、こうした反政府側の勝利が、米国による反政府派への支援強化につながることはなさそうだ。特に、アルカイダ系過激武装組織、ヌスラ戦線がいるイドリブへの支援はないだろう。

 シリアの命運は、アサド政権の団結力とイランの支援に、ますます左右されることになりそうだ。しかし、シリア兵はイランやヒズボラが検問所を設けて自分たちを統制することに苛立っている。また、シリア兵と反政府勢力は以前から気脈を通じており、弾薬の売買や、戦わない約束をしたりしている。

 このように、アサドの立場は空洞化が進み、軍事的主導権はイランが握りつつある。こうした状況は交渉への道を開くかもしれない。なぜなら、今に至っても、軍事的決着はつきそうにないからだ。何が何でも権力にしがみつきたいアサドと違い、イランはより現実的で、アサドをお荷物と見ている気配がある。また、イラン核協議が上手くいけば、シリアでも事態は解決へと動き出すのではないかとの期待も一部にはある。ヒズボラのある司令官は、「いずれアサドはお払い箱だ。イランは適切な時機を待っているだけだろう」と言っている、と報じています。

出典:Economist ‘Assad on the back foot’ (April 4-10, 2015, p.42)
http://www.economist.com/news/middle-east-and-africa/21647673-despite-irans-support-president-weakening-assad-back-foot

* * *

 シリアの内戦は、アサド政権とそれを支持するヒズボラ、穏健反政府勢力、アルカイダ系のヌスラ戦線、IS、クルド人勢力が入り乱れて戦闘がおこなわれています。危険なこともあり、ジャーナリストもなかなか入れず、各派の支配領域についての情報も少ないです。

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