チャイナ・ウォッチャーの視点

2015年5月12日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

 中国人民解放軍(以下、解放軍)の制服組にとって極めるべき最高ポストは何かと問われれば、迷いなくこう答えるはずだ。

 党中央軍事委員会(軍委)副主席――。トップである党中央総書記を支え、党中央政治局委員をも兼務する。

 その最高ポストに上り詰めた人物がいま、規律検査の対象となって身柄を拘束されているという。郭伯雄前軍委副主席である。

中国軍制服組元トップ、郭伯雄が汚職の疑いで調査へ(2006年7月資料写真)(写真:ロイター/アフロ)

取り調べは予定されていた

 ロイター通信社が3月3日付で報じた情報だったが、国内では産経新聞が4月17日に報じ、続いて香港紙や国内の大手紙が続いたことで騒ぎとなった。

 軍委副主席といえば、すでに徐才厚前軍委副主席が取り調べを受けていて、今年の全国人民代表大会(全人代)の閉会日に膀胱がんによる死亡が伝えられた。

 徐の逮捕は、従来の中国社会に根付いていた「軍に対する不可侵性」――とくに陸軍の将官が逮捕されることなどありえないと信じられていた――を考えれば、聖域に踏み込む大手術であった。

 ちなみに郭は、同じ軍委副主席といっても徐を超える大物とされていた。だが、その徐に続いて、さらなる大物逮捕の知らせに接しても、中国社会が大きく動揺することはなかった。

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