2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年6月4日

 4月24日付の米National Interest誌で、ケック同編集員は、中小艦船からも発着可能なドローンを開発し、それに哨戒・攻撃機能を持たせることで、空母の機能をかなり代替する研究が進められている、と述べています。

画像:iStock

 すなわち、先月、軍の国防高等研究計画局(DARPA)が発表を行った。海軍研究機関ONRとの共同研究TERN(Tactically Exploited Reconnaissance Node:戦術運用偵察ステーションの開発)の第2段階を開始するというのである。

 これは、海軍の小型艦船でも運用可能な哨戒・戦闘用ドローンの開発を意味する。

 これは中国の対艦弾道ミサイルDF-21D(動いている米空母を1500kmの彼方から攻撃できる)やイランのミサイル等に対する脆弱性を増している空母や、陸上の空軍基地への依存度を減らす。米空母は中国のミサイルを恐れて、中国周辺海域に近寄りにくくなるだろうし、陸上基地は地元住民との摩擦も招きやすい。

 このTERN計画で開発するドローンが完成すれば、アーレイバーク級駆逐艦、あるいはフリーダム級のフリゲートでも運用ができるだろう。そのことは、米海軍艦船のほとんどがミニ空母になることを意味する。2013年には、海軍は潜水艦から発射する燃料電池駆動のドローンをデモ飛行させてもいる。空母搭載戦闘機F-35の次世代は、完全に無人化することが予定されているので、このTERN計画は時宜にかなったものである。

 TERN計画の第2段階ではAeroVironment、Northrop Grumman社が選定されて、本件ドローンを試作する。これまでのドローンにはなかった、狭い場所での離発着能力、長時間航行能力が問われる、と述べています。

出典:Zachary Keck ‘U.S. Navy May Turn Every Ship into an Aircraft Carrier’
(National Interest, April 24, 2015)
http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/us-navy-may-turn-every-ship-aircraft-carrier-12722

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 この海軍用ドローンが成功し、有人戦闘機等を完全に代替するようなことが起きれば、嘉手納、横須賀を含め、在日米軍基地の意義は非常に落ちるでしょう。


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