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2015年7月21日

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小泉悠 (こいずみ・ゆう)

財団法人未来工学研究所特別研究員

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

「クリミアなう」

 ところで、セルフィー好きは一般の若者ばかりではない。

 ロシア語で「兵士 セルフィー」などのキーワードを入れて画像検索すると、軍の施設や演習場で撮られたと思われる画像が大量にヒットする。

 日本よりもはるかに機密保持の厳しい国で一体どうなっているのかと思うが、何故か兵士が勤務中にセルフィーを撮るのは割と黙認されているらしい。

 その最たる例が、昨年2月、ロシア軍がクリミア半島を占拠した直後にVK(ロシア版Facebookと呼ばれる大手SNS)に投稿された一枚の写真だった。

 「クリミアなう」 

 とロシア語で投稿したのは、全ロシア軍中でも最精鋭の参謀本部直轄特殊部隊「特殊作戦軍(SSO)」の兵士だった。

 当時、ロシアはクリミアへのロシア軍派遣を否定し、議会等を占拠しているのはあくまでも「自警団」であるとの立場を取っていたが、これでは政府が何を強弁しようと台無しである(ロシア政府は後になってクリミア半島にロシア軍を投入していたことを認めた)。

 さらに同年夏、ロシアの支援を受けて戦っていたドネツクやルガンスクの親露派武装勢力がウクライナ軍の攻勢で劣勢に陥ると、ロシアは戦車や防空システム等の重装備に加えて多くのロシア兵をウクライナ南東部に派遣するようになった。

 この際も、ある兵士の投稿するセルフィーのジオタグ(位置情報)がロシア国内のロストフ州から隣接するウクライナ側へと変化し、ロシアの関与を示す、動かぬ証拠となった事例がある。

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