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2015年7月2日

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小泉悠 (こいずみ・ゆう)

財団法人未来工学研究所客員研究員

1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間企業を経た後、2008年から未来工学研究所。09年には外務省国際情報統括官組織で専門分析員を兼任。10年、日露青年交流センターの若手研究者等派遣フェローシップによってモスクワの世界経済・国際関係研究所(IMEMO)に留学。専門は、ロシアの軍事・安全保障政策、軍需産業政策など。著書に軍事大国ロシア』(作品社)、『プーチンの国家戦略』(東京道堂出版)『ロシアの軍事情報を配信するサイト「World Security Intelligence」(http://wsintell.org/top/)を運営。

 米国の連邦最高裁が全州で同性婚の合法化を認めたことは、世界中に大きな衝撃を与えた。

 こうした中で対応に苦慮しているのがロシア政府である。

画像:iStock

 もともとロシア社会には同性愛に対する嫌悪感が強く、ソ連時代には同性愛は刑法典で「犯罪」と位置づけられていた(1993年に同性愛を犯罪とする条項は削除)。現在でもロシア社会では「同性愛者はHIVの元凶だ」あるいは「刑務所帰りのごろつきだ」といった偏見も根深く、なかでもモスクワ市のルシコフ前市長はゲイプライドマーチ(同性愛者の権利を訴えるデモ行進)を「悪魔の所行」と呼んだことでも知られる。

 こうした社会の保守的な見方に同調する形で、ロシアではサンクトペテルブルグ市、モスクワ市といった有力自治体が「非伝統的な性的関係のプロパガンダ」を禁止する条例を相次いで制定し、2013年には連邦法として全土に適用範囲が広がった。

 同性愛を含む「非伝統的な性的関係」を喧伝することが児童の精神的発達に悪影響を与えるというのが表向きの理由であるが、実態としてはホモフォビア(同性愛嫌悪)の根強い社会の保守層にアピールする方策という側面が強いと思われる。

 しかし、西側先進諸国では同性愛者の権利は着実に認められつつあり、冒頭で述べた米国の連邦最高裁判決はロシアでも大きな注目を集めている。

 こうしたなかで、ロシア上院の有力議員から、一種の折衷案を導入することが提案され、注目を集めている。以下、インターファックス通信が報じた内容をご紹介したい。

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