本稿を書いている現在、ロシアのサンクトペテルブルグでは例年通り「サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(SPIEF)」が開催されている。世界のビジネス界代表者が集まり、各種のカンファレンス、会談、見本市などが行われる一大イベントだ。
昨年はウクライナ危機やこれに伴う対露経済制裁などで西側企業の参加が落ち込んだものの、依然として石油メジャーなどはロシアを重要パートナーと見なしており、経営トップが相次いでサンクトペテルブルグを訪問。プーチン大統領との会談も行われた。
しかも、米国と欧州では対露関係にかなりの温度差が見られる。たとえば6月18日付『ブルームバーグ』は、今回のフォーラムへの参加者リストを分類した上で、米国企業の参加がウクライナ危機以前と比べて大幅に減少し、ロシアへの投資意欲が減退しているのに対して、欧州企業は依然としてロシア市場への関与を維持しようとしていることを指摘している。
もともと米露の貿易額がそう大きくないのに対して欧州は依然としてロシアにとって最大のパートナーであり、欧州側にとってもロシアは第三位の貿易相手国である。政治・安全保障上の関係が悪化してもそう簡単に関係を断絶できる関係ではない、ということが見て取れよう。
4年振りにサウジアラビアが参加 国防相も?
その陰で、今年の経済フォーラムにはサウジアラビアからの代表団が参加したことが注目される。同国がロシア経済フォーラムに参加するのは4年振りだ。
サウジアラビアが長らく同フォーラムに参加してこなかったのは、2011年以降のシリア内戦によるところが大きい。イラン及びシリアと対立関係にあるサウジアラビアは、シリア内戦後、米国によるシリアへの軍事介入を支持し、アサド政権を支えるロシアに対しても支持を撤回するよう度々働きかけてきた。