WEDGE REPORT

2015年9月17日

»著者プロフィール
著者
閉じる

勝川俊雄 (かつかわ・としお)

東京海洋大学准教授

1995年東京大学農学部水産学科卒。97年同大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。2002年同大学大学院農学生命科学研究科博士号取得(論文博士)。三重大学生物資源学部准教授等を経て15年4月より現職。

 5月21日の参議院農林水産委員会で、筆者が執筆したWedge5月号「絶滅危惧のクロマグロ 産卵場の漁獲規制を急げ」という記事が大きく取り上げられた。

画像:iStock

 この記事は、絶滅が危ぶまれている太平洋クロマグロ(以下、クロマグロ)が6~8月に産卵のため日本海沖に集まってくるところを、巻き網船団が集中的に漁獲している現状に警鐘を鳴らすもので、このまま放置しておくと、更なる資源の悪化を招くので、規制を急ぐべき、といった内容であった。

 本川一善水産庁長官は「産卵場の漁業の影響はほとんど無い」、「クロマグロは親が減っても子は減らない」とした上で、私の主張は「公平性や科学的根拠を欠く」と非難した。国会答弁の議事録はインターネットで公開されている。筆者は参考人として呼ばれなかったので、この場を借りて水産庁の主張の妥当性を検証する。結論から言えば、水産庁の主張はクロマグロの将来を憂慮させるものとなっている。

 水産庁の主張を要約すると次のようになる。

 a)日本海産卵場の漁獲がクロマグロの産卵に与える影響は軽微

 b)クロマグロ幼魚の新規加入が減ったのは海洋環境が原因

 c)クロマグロ幼魚の新規加入は親魚の資源量とは無関係に変動する

 d)親魚ではなく未成魚を獲り控えることが重要と科学委員会が言っている

 順に検証していく。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る