世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年9月22日

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 8月25日付の米ワシントン・ポスト紙の社説は、米国防総省が議会への報告書の中で、中国による南シナ海における埋め立ての進行に警告を発していることを紹介した上で、警告は充分効果的なのだろうかと問いかけています。

画像:iStock

 すなわち、国防総省は、議会への報告書「アジア太平洋海洋安全保障戦略」において、南シナ海における中国の埋め立てという挑発的行動に対抗するための海洋戦略を概説している。

 今春、太平洋艦隊司令官ハリス提督は、中国が「砂の長城」、即ち900エーカーに及ぶ人工島を造成したと警告した。国防総省は今回新たな詳細を明らかにした。埋め立ては2013年12月に始まったが、今年6月の時点で2900エーカー以上の埋め立てを行った。ベトナム、マレーシア、フィリピン及び台湾も埋め立てを行っているが、中国が行っていることに比べれば、取るに足らない規模である。「中国は他の全ての関係国が過去40年間に行ったことの合計の17倍の埋め立てを20カ月で成し遂げた」と報告書は述べている。

 もし、これらの島が港湾施設と空港を持つ軍事施設に転換されるならば、中国はその海洋に対する主張を固めることになる。これは海洋の自由の擁護を誓約している米国にとって深刻な挑戦となる。中国の主張は「九点線」に拠っているが、人工島の造成によって中国は「南シナ海においてより強固な軍事力の投射能力のためのプレゼンスを確立する」と報告書は警告している。中国は紛争地域の効果的支配を強めるため沿岸警備隊によって少しずつ事を進め、海軍は後景に退いて待機していると報告書は指摘している。

 賢明にも米国は軍のアセットをアジア太平洋にシフトしつつある。今後5年間に太平洋艦隊の艦船は30%増強される。2020年までには艦船および航空機の60%はこの地域に配備される。

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