世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年10月7日

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 エコノミスト誌元編集長のビル・エモットが、中国の株式市場の崩壊に関して、真の問題は経済的なことではなく政治的なことである、との論説を8月28日付フィナンシャル・タイムズ紙に書いています。

 すなわち、中国の株式市場のバブル崩壊に関心を持ち、懸念を抱くべき真の理由は、経済ではなく政治にある。本件は、3つの大きな政治的問題を提起している。

 第一に、長年、中国の大きな強みの一つは、その権威主義的な政府は、民主主義政府よりも、うまく意思決定、遂行、経済改革の舵取りが出来ることだ、と言われてきたが、それに疑問符がついている。

温家宝前首相(画像:Getty Images News)

 温家宝首相(当時)が全人代で、中国の成長は不安定、不均衡、不調和、持続不可能である、と言ったのは8年前である。これは、投資集約的で汚染に満ちた経済成長から、よりクリーン、ハイテク重視、消費者主導の多様性への移行という新たな改革の宣告だったのだろうが、殆ど実現していない。中国の大気と水は今までになく汚染されている。投資が成長の駆動力としては大きく弱まり消費が重要性を増したように見えるが、単に統計上そう見えるだけである。

 2007年に温家宝が求めたような変革では、政治指導者は、大衆の信頼と社会的調和を維持しながら、利害関係者間の調停をする必要がある。そのために中国共産党は、過去2年間、政治的支配を強化しようとしているが、これまでのところ、これらの経済改革を上手く実行できていない。

 第二に、株式市場の崩壊から何らかの真の国内的な結果があるとすれば、損失を被った投資家の怒りが、失業率の増大等と相俟って、共産党指導者に対する大衆の反発につながる可能性である。問題は、そのような反発がどれくらい大きくなるか、それが深刻になった時に党がどのように応えるか、である。温家宝が言った「四不」への対応の失敗は、共産党が大衆の騒乱を如何なる犠牲を払っても回避したがっていることによるところが大きい。

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