WEDGE REPORT

2015年11月9日

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 10月末にエジプト・シナイ半島で起きたロシア旅客機墜落は過激派組織「イスラム国」(IS)の分派「シナイ州」が爆発物を機内に持ち込んで爆破させたテロであることが濃厚になった。ISが各地の分派組織を使った国際テロに本格的に乗り出したのではないかと警戒を呼んでいる。

墜落したロシアの旅客機(Getty Images)

時限装置付き爆弾か

 エジプト政府を中心とする調査団はボイスレコーダーを解析するなどテロと事故の両面で調査を進めている。調査団は現在のところ、「雑音が記録されていた」としながらも、テロの特定は避けている。慎重なのは、外貨の大きな収入源である観光産業に悪影響が及ぶのを懸念していることが背景にある。

 しかし英政府は4日、「テロによる可能性がかなりある」(ハモンド外相)としてシナイ半島のリゾート地シャルムエルシェイクと英国との航空便の運航を停止、同地に滞在していた英観光客約2万人の帰国作戦を実施中だ。観光客は帰国便ではスーツケースなどに爆弾が仕掛けられるのを防ぐため、小さな手荷物の携行だけが認められた。

 この英国の発表に続いてオバマ米大統領がテロの可能性のあると言明、プーチン大統領もロシアとエジプトを結ぶすべての旅客航空便の運航を停止すると決定し、約9万人の観光客の帰国を急いでいる。オランダやドイツなど欧州の主要な航空会社もシャルムエルシェイクとの航空便の飛行を停止した。

 各国のこうした決定は爆発物が機内で爆発したテロが濃厚になったための措置だ。フランスの国営テレビはボイスレコーダーを解析している専門家の話として、「飛行中に突然激しい爆発音が響き何も聞こえなくなった」とテロの可能性が高いとの見方を示した。

 ロシアのコメルサント紙によると、同機は空中で3~4回爆発し、一部の乗客はこの爆発で地上に落下する前に死亡。時限装置付きの爆発物が使われた可能性がある、という。また米国のNBC放送によると、米情報当局が「シナイ州」の戦闘員からISの首都、シリア・ラッカの組織の幹部らとの交信を傍受し、その中には墜落させる方法も含まれていたとされる。

 「シナイ州」は2度目の犯行声明「怒りに震えながら死ね」の中で、「残がいから墜落させた方法を探すがいい。もしわれわれがやっていないと言うなら、それを証明してみろ」と嘲り、「しかるべき時に、どのようにして墜落させたかを明らかにする」と挑戦的な姿勢を示した。

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