世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年11月25日

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 米国の国防が直面する損害は容易に回避できる。議会が政府の国防予算を承認すればよいのである。

 私は、議会に長期的な予算取引のため行動するよう訴える。それは米国の部隊とその家族に、彼らが成功するための決意と資源があることを知らしめるとともに、世界に対し、米国が世界で最も優れた戦闘能力を計画し構築し続けるというメッセージを送ることになるだろう、と述べています。

出 典:Ashton Carter‘The U.S. Military Needs Budget Certainty in Uncertain Times’(Wall Street Journal, October 20, 2015)
http://www.wsj.com/articles/the-u-s-military-needs-budget-certainty-in-uncertain-times-1445379339

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国防予算削減で損なわれる米国優位

 上記論説は、国防予算をきちんと審議、成立させてほしいとの、議会に対するカーター国防長官の切実な訴えです。

 国防予算の審議について、国防長官がメディアに寄稿するのは異例のことであり、国防予算の現状について、いかに国防当局が危機感を持っているかを示すものです。

 国防予算の現状のマイナスの影響は計り知れません。カーター長官は、それは米国の軍事的優位を危うくしうるものであり、米国の軍事戦略にとって危険であり、中国やロシアそしてISの行動を見れば、許せないと言い切っています。

 カーター長官は論説で、現在議会が審議中の予算法案は、必要な改革を制限するものであると批判していますが、10月22日、オバマ大統領は2016年国防授権法に拒否権を行使し、その主な理由として、同法が強制削減を含んでいること、必要な改革を認めず、予算の無駄使いとなっていることを挙げて、カーターの主張と軌を一にしています。

 カーター長官の指摘しているような国防予算の現状は、単に米国のみならず、同盟国、そして国際社会全体としても無関心ではいられないものです。日本をはじめとする同盟国、そして世界の安全に関心のある国は、米軍が「機敏で、力強く」あり続け、米国の軍事的優位が維持されることを望んでいるからです。

 本来、国防は超党派の関心事項であるべきものですが、近年は党派的利害に振り回されるケースが多くなっているようです。 国防の重要性にかんがみ、両党、特に共和党は、カーター国防長官の訴えに耳を傾け、今一度党派的利害を超えるよう努めることが望まれます。

  
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