2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年11月25日

 10月20日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙で、カーター米国防長官が、米国が国防上の任務を果たすために、議会が継続予算決議の繰り返しをするのを止め、きちんと国防歳出予算法案を通すべきである、と述べています。

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常態化する予算審議の長期化

 すなわち、米議会は7年続けて国防歳出予算法案を会計年度に間に合うように通さなかった。そして国防省は他の省庁と同様、過去4年強制削減の影響と戦ってきた。

 米国はこのような状態が普通になることは許せない。米国政府が国防予算で四苦八苦している間、中国は南シナ海において、ロシアはウクライナとシリアにおいて情勢を不安定化させる行動に出ていて、ISも野蛮な動きを続けている。

 このような不確実な安全保障環境において、米軍は機敏で力強くなければならないのに、束縛を受けている。選択肢を注意深く、戦略的に検討すべきなのに、早急な削減を迫られている。

 無差別な削減と予算の混乱は、管理上非効率であり、納税者と国防産業にとって無駄である。そして軍事戦略にとって危険である。正直言って、それは世界に対して恥ずかしい。また米国の才能ある軍人とその家族の士気を阻喪させる。米国は、最も優れた人材を引き寄せ続け、次世代の能力を開発し、当面の脅威に対応しなければならない。米国の軍事的優位は当然与えられるべきものでも保証されたものでもない。

 通常の予算に代わって継続予算決議を長期化させることは、予算の強制削減に他ならない。もし議会が継続予算決議をまる1年続ければ、国防省の予算は、10年以上にわたった戦争のあとの兵力の体制を回復し将来に向け重要な新しい能力に投資するのに必要とされる額を、380億ドル下回ることになる。

 不幸にして、議会が審議している最新の国防予算法案は、必要な改革を制限するものである。例えば、古く、能力が劣り、優先度の低い体系を止めることを制限する。また国防費の不足を隠すため、資金を通常の予算から国防省の戦争基金会計に移すが、この予算のやりくりのため、米軍を近代的で意味のあるものにし続けるために必要な長期計画と投資をする合理的な基準が失われる。


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