世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年12月4日

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 11月1日付フィナンシャルタイムズ紙社説が、中国の経済減速によりアフリカの経済発展が試練に直面している、と論評しています。

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金融危機以来最低の成長率

 すなわち、過去15年、「アフリカ台頭」礼讃者はアフリカの目覚ましい発展は単に中国への商品輸出によるものではないかとの批判を否定してきたが、今やその熱狂は厳しい試練に立たされている。IMFはサブサハラ諸国の今年の成長は金融危機前以来最低になり、来年の回復も限られたものになるとの見通しを出した。

 サブサハラ諸国は2000年来の成長の大部分が高い資源価格と安い海外資本によるものだったことを悟りつつある。中国はアフリカの最大の貿易相手国になったが、最近の対中資源輸出の減少がアフリカ経済に打撃を与えている。

 ナイジェリアやアンゴラなどの産油国は最も大きな影響を受けている。IMFは主要8産油国(サブサハラのGDPの半分を占める)の今年の成長率見通しを7%から3.5%に引き下げた。経済の減速は不可避であったが、多くの政府はそれに対処する準備が出来ていない。多額の収入を得ていた10年間の好景気の時代に必要な蓄えをしなかったために今財政上の余裕が不十分で、経済は商品危機(コモディティー・クランチ)に入っている。

 中所得国も同様に問題を抱えている。ガーナの事例は資源の管理を誤ればブームは悪夢になることを示している。同国は2007年に石油を発見、2010年から産油国になったが、石油収入を債務削減、海外での基金設置や生産力強化のための国内投資に回さないで、公務員給与の引き上げ(3倍増)やエネルギー補助金の引き上げに使った。また、海外からの借り入れを増やした。

 海外借り入れを増やしたのはガーナだけではない。いくつかの国がユーロ債を発行した。投資先を探していた安い資金はアフリカに回った。ガーナの海外借り入れ拡大の愚策は、国債残高を増加させ、通貨は急落、今年の夏にはIMF救済を求めざるを得ない結果になった。

 サブサハラ諸国は良い時代に自国経済の多様化、強化を怠った。不安定な商品輸出や資本市場を乗り越えて発展するためには経済環境やインフラの改善が必要だ。しかし、過度に悲観すべきではない。アフリカは大きな可能性を持っており、成長鈍化も他の新興国程ではない。サブサハラが貧困を克服して発展を始めたとの考えは当面楽観にすぎた、と指摘しています。

出典:‘Africa’s rise is stalled by the Chinese slowdown’(Financial Times, November 1, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/2a4f3cbc-7eff-11e5-98fb-5a6d4728f74e.html#axzz3qJwGq1CJ

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