民政移管は平和裡に進むのか
政治的手腕問われるスーチー


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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フィナンシャル・タイムズ紙が、ミャンマーの政権交代についての社説を11月13日付で掲載し、この挑戦が平和裡に成功するかどうかは、将軍たちの忍耐と、アウンサンスーチーの能力にかかっている、と論じています。

2010年に行われたNLDの集会で僧へ寄付を行うアウンサンスーチー(iStock)

軍との関係性問われるNLD

 すなわち、アウンサンスーチーは25年ぶりの自由選挙で地滑り的勝利を収めた。このスーチーの勝利は、新たな始まりである。ミャンマーは軍事独裁から開かれた社会への転換に直面している。この挑戦が平和裡に成功するかどうかは、将軍たちの忍耐と、スーチーの能力にかかっている。

 選挙に対する各方面の反応は期待の持てるものであった。将軍たちは、選挙の結果を受け入れることを表明し、スーチーは「国家的和解」を呼びかけた。しかし、政権樹立の過程において、NLDの指導者と軍の双方が多くの挑戦に直面することになるだろう。

 スーチーは憲法によって、大統領に就任することを禁じられている。しかし、彼女は代理人を大統領に立てて、自らが実権を握ることを表明している。仮にこの問題が解決しても、NLDと軍の関係は難しいものとならざるをえない。現憲法において、軍は国防や内務、国境関係の重要な部門を掌握しており、NLDがミャンマー経済の主要部門に対する軍の支配を覆そうとするならば、衝突は不可避となる。同時に将軍たちは、自らの権力を維持するためにはスーチーとその仲間たちと協力しなければならないことを受け入れる必要がある。

 70歳になるスーチーが直面する問題も過小評価してはならない。彼女は、民主主義の象徴ではあったものの、政治的指導者としての経験はない。経済などの政策問題やロヒンギャの問題などについてもほとんど言及していない。

 ミャンマーの選挙は、タイや中国のことを考えれば、アジアにおける民主主義の高揚の好例である。スーチーには、自分の国に自由をもたらす機会を与えられた。成功を期待したい、と述べています。

出典:‘From dictatorship to democracy in Myanmar’(Financial Times, November 13, 2015)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/0472fd30-8a03-11e5-9f8c-a8d619fa707c.html#axzz3sMxvSZRr

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