世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月5日

 11月28日付のニューヨーク・タイムズ紙は、ISはリビアに基地を作っているが、これは万一現在のシリア、イラクの領土が維持できなくなった場合に備えているのかもしれない、との解説記事を掲載しています。

リビアの首都トリポリの街並み(iStock)

中枢から外へと目を向け始めたIS

 すなわち、ISに対するシリア、イラクでの軍事的、経済的圧力が高まるにつれ、ISの指導者は外に目を向け始めた。この変化の一つの表れは、最近のパリでのテロやロシアの旅客機の撃墜である。

 同時にISの指導者は、エジプト、アフガニスタン、ナイジェリアといった、はるか離れた地域でISに忠誠を誓うグループを支部として強化しつつあり、現在少なくとも8つの支部がある。

 その中で最も重要なのが、リビアの地中海沿岸都市Surtである。SurtはIS中央指導者の直接の管理下で活動している唯一の支部である。ISの指導層はSurtの支配を強化しており、万一ISが当初の領域から駆逐された場合、リビアをイスラム聖戦士が戦いをつづける基地とすることを考えている、と言われる。いわば緊急時対策である。

 リビアはカダフィ失脚後機能する政府がなく、いくつかの戦闘集団はお互いに争っている。ISはトリポリの政府から武器や資金を得ている。

 ISはすでにSurt近辺の地中海沿岸の150マイル以上を支配している。リビア全体では約2000人のIS戦闘員がおり、Surtには数百人いる。ISの次の目標はSurtの東のAjdabiyaで、ここを占領すれば、ISは交通の要所、重要な石油の貯蔵所と油田を支配することになる。

 当初ISは世界の若者にISへの参加を呼びかけていたが、シリアでの国家建設計画に圧力が加わるにつれてメッセージが変わり始め、海外での戦いに焦点を当て始めた。西側在住のイスラム教徒に、米国など居住国での殺害を呼びかけるようになった。

 ISの勢力拡大には常に戦場での勝利が必要であった。それが、ISが5月にイラクでラマダ、シリアでパルミラを奪って以来、主要な領土の占領はなく、逆に6月にはシリアの国境の町Tal Abyadから、11月にはイラクのSinjarとシリアの Al Holから撤退した。

 ISは無敵のイメージを維持しようとして、外国の支部の支援を増大し、その作戦を宣伝するようになった、と解説しています。

出 典:David.D.Kirkpatrick , Ben Hubbard & Eric Schmitt ‘ISIS’ Grip on Libyan City Gives It a Fallback Option‘ (New York Times, November 28, 2015,)
http://www.nytimes.com/2015/11/29/world/middleeast/isis-grip-on-libyan-city-gives-it-a-fallback-option.html?_r=0

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