世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月8日

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 11月30日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は社説で、中国は、人民元がSDRバスケットの構成通貨となった今、金融システムを開放し、人民元を真の国際通貨としなければならない、と述べています。

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象徴的意味合いにすぎぬSDRへの追加

 すなわち、IMFは11月30日、人民元をSDRのバスケットに加えると発表した。これは、中国が世界最大の貿易国にふさわしい、より大きな役割を果たすことへの期待を示す象徴的な道標である。しかし、人民元が真の国際通貨になるためには、中国は金融システムをもっと開放しなければならない。

 公式には、中国は、元の国際的使用についての制限の多くを取り除いた。しかし、実際には、元の供給は限られている。真の準備通貨は自由に集積される。そのためには、経常収支または資本収支、あるいは双方が赤字になる必要がある。外国人が元を保有するためには、中国は輸入超過になるか、資本が海外へ純流出されなければならない。

 資本勘定を開放すると、資本が海外に流失し経済を不安定化させる危険がある。しかし、貯蓄者がより高い収益を求めて資金を動かすことは、経済全体に規律を課す。企業は資本に市場の決める金利を払わなければならないからである。

 中国が中所得国の罠から逃れ、投資の増大ではなく生産性の上昇によって成長しようとすれば、この規律を歓迎しなければならない。そのためには、銀行の貸し出しの決定に対する政府の干渉を止め、溜まった不良債権を一掃しなければならない。

 中国が求めていたIMFのお墨付きを得た今、習近平は人民元の真の国際化を目指すかどうか決める必要がある。その回答如何で中国の経済改革の道筋が決まる、と述べています。

出 典:Wall Street Journal ‘The Yuan and Chinese Reform’(November 30, 2015)
URL:http://www.wsj.com/articles/the-yuan-and-chinese-reform-1448929275

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