WEDGE REPORT

2016年1月8日

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 拡大する中東のサウジアラビアとイランの対立は7日、サウジ機がイエメン・サヌアのイラン大使館を爆撃したとイランが発表し、さらに激化する様相が深まった。イランの革命防衛隊など保守・強硬派が反発して軍事的な動きに出るのではないかとの懸念も浮上、日本が石油を依存するペルシャ湾の波が高まってきた。 

サウジアラビアによる空爆直後の写真。イエメン・サヌア(Getty Images)

サウジの焦り

 イラン外務省報道官が国営テレビを通じて発表したところによると、サウジ軍機によるサヌアの大使館攻撃で、大使館のスタッフの数人が負傷、建物の一部が破壊された。スポークスマンは「国際法を無視したサウジの意図的な行動」と激しく非難した。

 この発表は第3者によってまだ確認されていないが、サウジ当局者の発言として伝えられるところによると、サウジ軍機の攻撃はイエメンの反政府武装勢力フーシ派のミサイル発射台を狙ったものだという。フーシ派は国境越しにサウジにたびたびミサイルを撃ち込んでいる。

 イエメンでは、イランの支援を受けるシーア派の武装勢力フーシ派が昨年初め、サウジが支援してきたスンニ派政権を打倒。このためサウジは3月にイエメンに軍事介入、フーシ派に対する空爆を開始したが、実際にはイエメンを舞台にしたサウジとイランの代理戦争の色彩が濃い。

 サウジがイランの大使館と認識して攻撃したとすれば、「サウジの焦りの表れに他ならない」(中東専門家)ということなのかもしれない。今回の対立では、サウジの断交に追随したのは7日現在で、バーレーン、スーダン、ジブチの3カ国にすぎない。

 サウジが同じシーア派の脅威にさらされているとして、同調行動を取ると見ていた湾岸協力会議のアラブ首長国連邦(UAE)、クウエート、カタールは大使引き上げなどイランとの外交関係引き下げという軽い対応を取っただけだ。オマーンにいたっては非難したにとどまった。

 サウジはスンニ派アラブ諸国の支援がもっとあると読んでいたようだが、その思惑は大きく外れた格好だ。莫大な財政支援をしてきたパキスタンやエジプトから具体的な支援行動はなく、さらにはシリアのアサド政権への反対でスクラムを組んできたトルコもサウジを応援する措置は取らなかった。

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