2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月22日

サイバー攻撃対象分野の対外的公表を

 米中首脳会談などの複数の機会に、オバマから習近平に対し、中国から米国へのサイバー攻撃が中止されない限り、制裁措置をとるとの強いメッセージをくり返し発出したことが、軍主導のサイバー攻撃が減少し、民間主導に切り替わったきっかけのようです。特に軍の関与が明白であった上海の解放軍部隊UNIT61398に所属する5人の軍人を米司法省がMANDIANT社の調査結果等に基づき起訴したことが、中国側の対応に変化をもたらした大きな要因であった、と記事は指摘しています。中国からのサイバー攻撃自体は減少する気配がありません。オバマ政権の対応はまだ生ぬるいと言うべきでしょう。

 いかなる米関係機関、企業が中国からのサイバー攻撃の対象になるかについて、中国が国内的に打ち出す5カ年計画などの重点項目の分野がその対象になるとの指摘は、参考になります。最近の5カ年計画では、エネルギー、ヘルスケア、鉄鋼など、次期計画ではイノベーションなどが重点項目です。

 日本にとって重要なことは、米国の対応ぶりを参考としつつ、日本の如何なる分野、企業が中国のサイバー攻撃の対象分野になっているかの調査結果をまとめ、しかるべき形でそれを対外的に公表することです。米国に加え、最近中国のサイバー攻撃に敏感になっている豪州などとも協力していくべきでしょう。

  
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