赤坂英一の野球丸

2016年2月4日

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赤坂英一 (あかさか・えいいち)

スポーツライター

1963年、広島県生まれ。86年に法政大学文学部卒業後、日刊現代に入社。88年より、スポーツ編集部でプロ野球取材を担当。同社勤務のかたわら週刊誌、月刊誌で、スポーツを中心に人物ノンフィクションを多数執筆してきた。最新刊『すごい!広島カープ 蘇る赤ヘル』(PHP文庫、『広島カープ論』増補改訂版)が重版出来で2万部突破。ノンフィクション『失われた甲子園記憶をなくしたエースと1989年の球児たち』(講談社)が第15回新潮ドキュメント賞にノミネートされた。ほかに『プロ野球「第二の人生」 輝きは一瞬、栄光の時間は瞬く間に過ぎ去っていった』(講談社)『最後のクジラ――大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生』(講談社)『プロ野球コンバート論』(PHP研究所)など。

 プロ野球キャンプたけなわの折、スポーツ新聞にソフトバンク・松坂大輔の記事が載るたび、どうしてこんなにも和田毅とは扱いが違うのか、と思わないではいられない。

「松坂投げた」、「和田〝も〟投げた」

松坂が在籍したボストンレッドソックスのフェンウェイパーク(iStock)

 昨年、鳴り物入りで大リーグから日本球界に復帰しながら、一度も一軍で登板せず肩の手術までした松坂が、やれキャッチボールをした、やれブルペンに入ったと言っては一面でデカデカと報じられる。一方、仮にもかつてはソフトバンクの左腕エースで、今年2年ぶりにメジャーから復帰した和田は常にベタ記事扱いだ。キャンプ初日、ふたりそろって投球練習を行った記事の見出し、某スポーツ紙では「松坂投げた」、「和田〝も〟投げた」になっていた。まったく、随分な話である。

 では、松坂と和田のどちらが今季の戦力になる可能性が大きいか。キャンプ地に取材に来ている知り合いの評論家に聞くと、誰もが「現時点では和田のほうだろうね。左であるぶん使い出があるから」と口をそろえる。

 12球団一の陣容を誇る先発陣は武田翔太(昨季13勝6敗)、バンデンハーク(同9勝0敗)、中田賢一(同9勝7敗)、攝津正(同10勝7敗)と4本柱がいずれも右。彼らに続く寺原隼人(同8勝3敗)、千賀滉大(同2勝1敗)も右で、左でめぼしい存在は大隣憲司(同5勝4敗)しかいない。だから和田はローテーションに食い込むチャンスがあるが、右の松坂は主力投手がバテてくる夏場にでもならないと出番は回ってこないだろう、出せば勝てる投手だった昔ならともかく、肘も肩も手術して往年の球威など見る陰もないとなったらなおさらだ、と言うのである。

 そんな松坂と、孫正義オーナーは3年12億円という契約を結んでいる。このままでは大金をドブに捨てることになるのは確実で、さぞかしご立腹ではと思ったらそうでもないらしい。先に書いたスポーツ紙に大きく取り上げられていることから、むしろこれほどの人気者を他球団にさらわれないでよかった、というのが孫オーナーの本音であるようだ。

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