家電口論

2016年2月6日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

家電評論家

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

 過去2回、ミーレの会社の状況、そして製品を紐解いて来ました。それを見ると、日本の総合家電メーカーがなし得ていない「高級家電」というポジションは、強い意志で成し遂げられてきたことが分かります。今回は、何故それができたのか? そしてどこへ行こうとしているのか、を探ってみたいと思います。

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T社の惨状と資本主義社会が抱える問題

 サザエさんでお馴染みのT社は、日本だけでなく世界的にも著名な会社です。しかし、今、正直言うとT社は空中分解寸前ですね。不正をしたのがその理由なのですが、経営者は罪を償わなければならないということよりも、何故経営者が不正に走ったのかを考える方が重要だと思います。

 メーカーという会社は、自分の技術を世に問いたいと思うことが根底にあります。自分が理想とする商品、もしくは理想に近い商品を作り出し、それを製造、販売し利を上げるというわけです。その商品が新しい世界を拓いてくれるものだと爆発的に売れるし、そうでない場合は置き換えで売れていく。それがメーカーという会社です。

 このためメーカーは新しい世界を拓いてくれそうな機器を常に探索、莫大な投資を行い開発をします。こちらの方が、売り上げも利も多いですからね。しかし、当然リスクも大きい。

 20年前と一番違うのは、投資額と開発期間。技術難易度が上がっている分だけ、時間も人数も費用も嵩みます。当然、確実性が求められます。今、多くのメーカーが「医療」、「B to B」と声高にいうのは、確実さを求めているからです。

 しかし考えてみてください。

 メーカーはきら星の如くあります。つまり、どんどん新しい世界はなくなって行くわけです。置き換えが当たり前となります。つまり、右上がりだった売り上げグラフは、どんどん寝るわけです。これは当たり前のことです。

 個人経営だと、この事実は割りと容認できますね。低空飛行でも食べていけますから。ところが株式会社はそうは行きません。投資家は右上がりだから利を求めてお金を出すのであって、寄付のようなお金の出し方はしません。どうしても必要な事業の場合は、国が税金を使って対応することになります。

 「金が金を産む」というのはよく言われる言葉ですが、当たり前ですよね。投資家は、その様な行動ばかりしているわけですから。

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