安売り攻勢かけるスペースX 
宇宙開発の仁義なき戦い


土方細秩子 (ひじかた・さちこ)  ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

WEDGE REPORT

時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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今年3月、4回の延期の末にようやくファルコン9ロケットの打ち上げに成功したスペースX。衛星切り離し後にロケット本体を無事に地表に戻す、というのは失敗に終わったが、スペースX設立者であるイーロン・マスク氏の目標は「すべてのロケット着地に成功し、ロケットを再利用すること」にある。

スペースX設立者のイーロン・マスク氏(iStock)

 そこで、まだ実現していないが今後の約束としてマスク氏のスポークスマンでもあるスペースX社長、グウィン・ショットウェル氏が3月9日、大胆な発言を行った。「再利用するロケットの打ち上げ料を30%値引きする」というのである。

“業界最安地”からさらに大幅値引き!

 現在のスペースXのファルコンロケット打ち上げ費用は「業界最安値」の6100万ドル。それが再利用ロケットを使えば4000万ドルになるという。ちなみにボーイング、ロッキードが共同運営するユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の打ち上げ費用は1億6400万ドル、ヨーロッパのアリアンスペースは1億6700万ドルだ。

 現在スペースXの最大の顧客であるルクセンブルクのSES社はこれを歓迎、ただし「最初の再利用ロケット顧客になるので、打ち上げ費用を30%ではなく50%オフにしてほしい」と交渉中、という。ショットウェル氏は「燃料費、ロケット修繕費などを考慮しないと、正確にどこまで値引きができるかは現段階では未定」としている。

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土方細秩子(ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

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