WEDGE REPORT

2016年3月24日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 同時にショットウェル氏はスペースXが一度だけ成功したロケットの着地についても「非常に印象深いものだった。実際に着地したロケットを見学に行ったが、ほとんど傷一つなく、ボディはピカピカのまま、エンジンもカバーを外してみれば新品同様だった」と絶賛した。

大きなミッション前に強気のスペースX

 まだ一度しか成功していないロケットの着地だが、ショットウェル氏は「2016年にはすでに成功した2回に加え、16回の打ち上げ予定がある。来年には合計で24回のロケット打ち上げを予定している」と、打ち上げ回数が増えればロケットの無事帰還、再利用の可能性もぐんと増す、と強気だ。

 また、重量のある衛星打ち上げに対応するため現在スペースXが開発に取り組んでいるファルコン・ヘビーロケットについても、「11月には商業打ち上げができる」との予測を発表した。

 さらに、今年はスペースXにとって大きなミッションが待っている。NASAとの提携による「有人宇宙ロケット打ち上げ」だ。NASAは現在宇宙ステーションへの飛行士輸送をロシアのソユーズに頼っているが、経費節約のため自国製の有人ロケット開発を急いでいる。昨年この計画にスペースXがボーイングとともに選ばれ、大きな話題となった。現時点でどちらが先に有人飛行を行うのかは未定とされているが、なんとオバマ大統領が「うっかり」口を滑らせ「スペースXは火星への有人飛行の大きな助けになるだろう」と語ったところから、スペースXが選ばれる可能性が高いのでは、との噂だ。

 NASA自身がこのところ民間の協力をあおいでいる。ロケット技術の一部をオープンソース公開し、その技術を使った起業アイデアを募り、選ばれたグループには技術の無料使用を許可する、という企画を進めている。企業が軌道に乗り、利益を上げるとその一部を「ロイヤリティ」として受け取る。スペースXについても「純粋な民間企業だからこそできる、思い切ったコストカットなど、新しいアイデアが宇宙航空事業にもたらされる」と賞賛した。ULAは民間企業とは言えほぼ半官半民であり、同社とアリアンスペースのロケット打ち上げ費用を見ても明らかなように、コスト面での事実上のトラストが存在する。しかしスペースXの登場により、宇宙も「価格破壊」の時代に突入した。

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