WEDGE REPORT

2016年3月14日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 3度にわたる打ち上げ延期の末、3月4日、ついにスペースXがファルコン9ロケットの打ち上げに成功した。しかし、ロケットの打ち上げは成功でも、スペースX設立者であるイーロン・マスク氏にとっては「苦い失敗」だった。

スペースXのファルコン9(iStock)

またもや失敗した着地

 今回のロケット打ち上げは、SES(ルクセンブルグに本社を置く、企業や政府向けの衛星運営会社)の通信衛星を軌道上に乗せるためのものだった。マスク氏は通常使い捨てとなり海に落下するロケットのブースター部分の「リサイクル」を狙っていた。SES側もスペースXからの再利用可能なロケットによる打ち上げに同意していた。

 問題は衛星が1万1000ポンド(約5トン)と、ファルコン9にとってはこれまでの打ち上げで最高重量だったこと。これは燃料を少なくする必要性があることを意味し、当初からブースターの帰還に懸念が持たれていた。マスク氏自身、「今回は失敗に終わるだろうが、次のフライトでは成功させる」とツイッターを流した。

 スペースXは、昨年後半にロケットブースターの着地に成功、しかし今年1月には着地時にブースターの足が折れ、爆発する、という失敗に見舞われた。ロケットを打ち上げ、海上の拠点に着地させるのは「鉛筆をエンパイアステートビルの屋上まで飛ばし、消しゴムの上に落下させる」ほどの精度が必要、と言われる。しかし実現できれば宇宙開発事業にとって大きなコストの節約になる。

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