野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2016年3月10日

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 交渉の大詰めに入り、今週後半か来週の正式合意も取りざたされている台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)によるシャープの買収問題。そのニュースは、もちろん、日本だけではなく、台湾でも大きく報じられている。なにしろ、この買収は、台湾で過去最大の「台湾企業による外国企業の買収」案件である。台湾では、この買収問題は、ホンハイ(鴻海)とシャープ(夏普)の中国語の頭文字を取って、「鴻夏恋」と呼ばれており、ホンハイはもちろん、シャープの知名度も台湾で高いこともあって、非常に大きな関心を集めている。

台湾の三大経済誌のリアクション

 日本でいえば「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「週刊ダイヤモンド」にあたるような台湾の三大経済誌「商業周刊」「今周刊」「天下雑誌」(天下雑誌のみ隔週)は、先週発売された最新号でいずれも、ホンハイのシャープ買収に関する総力特集を組んだ(写真参照)。

台湾の三大経済誌(筆者撮影)

 「天下雑誌」のメインタイトルは「郭台銘(テリー・ゴウ)の野心と計算」。取材団を日本に派遣し、この4年間にわたる買収問題の経緯を総ざらいした。そのなかでは「『鴻夏恋』は、台湾にとっては産業構造の転換のきっかけになるかもしれないが、日本にとっては民族の自尊心が奪われることになる」と書いている。日本では、出井伸之・ソニー元社長にインタビューし、「私は郭会長も知っているが、非常に優秀な経営者であり、これほどいい条件でシャープを買うなんて、ちょっと考えにくい」という言葉も引き出している。

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