野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2016年3月10日

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 三誌のなかで最大の発行部数を誇っている「商業周刊」は「狐と狸の戦争」というタイトルを掲げた。ここで狐というのは、ホンハイの郭台銘のことで、中国におけるホンハイの製造会社がフォックスコンという狐を冠した名前であることに引っ掛けている。狸とは、もちろん、シャープの経営陣を指している。シャープの二転三転の対応は、台湾からみれば、ずる賢い狸が、狐を騙そうとしているように見えるのかもしれない。

 「商業周刊」は巻頭のコラムで「伏魔殿」と題して、シャープ経営陣の不透明な意思決定に疑問を呈した。「伏魔殿」が、シャープ社員による本社2Fの歴代社長のオフィスがあるフロアに対する呼び方であることを紹介し、そこに個人の部屋、秘書、車まで付いていることについて、大きな驚きをもって紹介している。そのなかで、第四代社長の町田勝彦が第六代社長の奥田隆司を支え、第五代社長の片山幹雄が第七代で現社長の高橋興三を支えている、という構図で、シャープの内部対立が、ホンハイにとって分かりにくい状況を生み出していると指摘した。

怒りに震えた郭台銘会長?

 また、記事では、4年前にシャープへの出資額が当初670億円だったのが、今回の買収額がその10倍の7000億円と増大したことについて、その理由をいくつかに分けて分析している。それによれば、コストの高い液晶パネル事業に対し、創業者である郭台銘が非常に強いこだわりを過去から持っていること、②iPadやパソコンなどで使われるシャープのIGZO技術は喉から手が出るほど欲しいもので、世界で最もIGZOの量産技術を有し、経験豊富な生産ラインを持っているシャープを傘下に収めることで、今後、さらなる液晶関連の受注の増加を期待できると見ている。

 「今周刊」は、「ホンハイ×シャープ つまずきの交渉 その秘密を解く」と題した特集を組んだ。そこには、突然、シャープから提示された3500億円とも言われる「負債」が、ホンハイ側を驚愕させたことを紹介。この負債の通知が、2月24日の朝、一通のメールの形で、ホンハイの台湾本社に送られてきたが、このメールはまるで「原子爆弾」のように炸裂し、当時、中国に出張していた郭台銘が「怒りに震えた」というエピソードを紹介している。

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