WEDGE REPORT

またも着地失敗 顧客喪失の危機もイーロン・マスクは諦めない

土方細秩子 (ひじかた・さちこ)  ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

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時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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4000基の衛星で格安ネット網を築く

 現在NASAはロシアのソユーズに対し、宇宙飛行士を1人宇宙ステーションに運ぶために7000万ドルを支払っている。対してファルコン9の打ち上げ費用は6100万ドル。これを繰り返し使用できるようになれば、かなりのコストが削減できる。

 また、マスク氏の狙いは300キロ程度の軽量の衛星を4000基打ち上げ、世界中に安価なインターネット網を築くことだが、これを実現するためには再利用可能なロケットの存在はマストだ。

 この再利用可能なロケットは、他社の参入もあり現在競争が激化している。米国の億万長者、ジェフ・ベゾス氏は2000年に「ブルー・オリジン」という宇宙旅行を目指す会社を立ち上げた。ブルー・オリジンは現時点で2回、ロケットブースターの着地を成功させている。

 また英国のヴァージン・ギャラクティック社は今年2月、カーボン製ボディの「スペースシップ2」を公開。こちらも個人宇宙旅行が狙いだが、社主であるリチャード・ブランソン氏はマスク氏と同時期に安価な衛星網によるインターネットサービス計画を発表しており、今後両社の「どちらが早く実現するか」という競争も現実化しそうだ。

 この状況の中で、今回のファルコン9の打ち上げの度重なる延期は、スペースXと契約を交わしている世界中の衛星運営会社に不安を与えるものとなった。スペースXは今回のSESのもののような重量級の衛星を打ち上げるため、現在「ファルコン・ヘビー」と呼ばれるロケット開発の最中だ。しかし開発はやや難航しており、ファルコン9では重量級の打ち上げに問題がある、ということが露呈してしまった。

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著者

土方細秩子(ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

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