WEDGE REPORT

2016年3月29日

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世界遺産都市パルミラから敗走

 ISのテロの脅威が欧州を震撼させる中、シリアとイラクではISが占領地を次々と失うなど弱体化が一気に進んできた。シリア政府軍は27日、昨年5月にISに占領された中部の世界遺産都市パルミラをほぼ制圧、奪還した。東部でもクルド人勢力が最近、戦略的要衝シャダディをISから取り戻した。

 イラクでもISが占領中のイラク第2の都市モスル周辺の村々を政府軍が制圧、モスル奪還作戦が始まった。バグダッド西方でも政府軍がISを撃退しつつある。米当局者は「やっと1年半に及ぶ空爆の効果が出てきた」とし、イラクの将軍は「ISはもはや逃げるだけだ」と自信を示している。

 イラク軍がISの交信を傍受したところによると、ISの戦闘員の士気は著しく低下し、脱走兵も急増している。前線のISの指揮官は戦闘員に戦うよう説得することが多くなっており、戦闘力が相当落ちているようだ。

 組織の混乱は、ISの幹部が相次いで米主導の有志連合の空爆や特殊部隊の急襲で殺害されていることにもよる。米国によると、3日に1人の割合で幹部が殺害されているという。カーター国防長官が25日発表したところによると、米特殊部隊がシリア東部で、ISの対外戦略の責任者で、指導者バグダディに次ぐナンバー・ツーと言われていたハジ・イマームを殺害した。

 4日の空爆で死亡した軍司令官オマル・シシャニに次ぐ大物幹部の殺害で、ISにとっては大きな打撃だ。イマームはイスラム国の前身「イラクのアルカイダ」の創設メンバーの1人。歴戦のテロリストだ。バグダディが殺害されるようなことがあれば、指導者の地位に就くと見られていた。

 ISの壊滅はこれまでは、はるか遠い話とされていたが、「来年末までには壊滅できる」(米専門家)など、具体的にIS壊滅の見通しが出るようになってきた。

  
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