北京大学で金融を専門とするペティス教授が、3月3日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説にて、中国のGDPの伸び率の低下は債務の伸びの低下を意味するので、中国経済の健全さの観点から歓迎すべきものである、と述べています。論旨は次の通り。
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経済成長率と裏腹の経済的健全さ
中国のGDPの増大は、中国の信用(資金供給量)の増大との関係で考えないと意味がない。1月の社会全体の資金供給が1年前より70%増加した半面、中国政府は、2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が予想に反して低下したと発表した。
資金供給の急増とPMIの低下はもちろん関連している。中国政府がGDPを許容できる限度まで増大させようとすれば、信用を増やさなければならない。
もし中国政府が本年7%近い成長率を、信用をその倍の率で増大させることによって実現しようとすれば、それは経済的健全さが弱まっていることを意味し、長期的には成長率は低下するだろう。
中国の長期的潜在成長率はたかだか2~4%であり、仮に中国政府の目指している生産性の飛躍的上昇があったとしても、今後10年中国の成長率は2~4%であってもおかしくない。
投資家は経済活動の変化の解釈を変えなければならない。債務返済能力の伸びとの関連で、債務の伸びを注視しなければならない。GDPの伸び率の急落なしに信用の伸びを抑えることはほぼ不可能であるので、GDPの伸びの低下は歓迎されるべきである。