チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年3月29日

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西本紫乃 (にしもと・しの)

北海道大学公共政策大学院専任講師

1972年広島県生まれ、広島大学大学院博士後期課程単位満了退学、元外務省専門調査員(在中国日本国大使館)。著書『モノ言う中国人』(集英社新書、2011年)。

 3月16日に中国の政治のビックイベントである全人代が終わったが、今年の全人代はPM2.5でかすむ北京の空同様に、政治的閉塞感が漂う大会だと中国国外メディアは評している。

 全人代が終わり、中国では今こんな風刺言葉が流行っているそうだ。

 北京に来なければ、文革をまだやっているなんて知らなかった。

 南シナ海について語らなければ、中国にとっての友人がこんなに少ないなんて知らなかった。

 全人代を開かなければ、習近平と李克強の仲がこれほど悪いとは思わなかった。

 政治空間と言論空間の統制がますます強まり、この先どこまで党と政府の締め付けが強まるのか見通しが立たないなか、庶民はひねりの効いた風刺で世相を皮肉っている。

『あなたを何とお呼びすべきか(不知該怎麼称呼你)』のMVでの習近平の姿 (出所:動画サイト芒果TV

文革時代に逆戻り? 今年の全人代

 実際に「文革をまだやっているなんて知らなかった」と思わず言いたくなるような、50年ほど時代を巻き戻したようなことが、最近の中国では増えている。

 先日閉幕した全人代ではチベットの人民代表18人がそろって国家指導者の顔写真がついたバッチを胸に付けて人民大会堂に現れた。彼ら自身の政治的な正しさを表わすためのパフォーマンスなのか、あるいは本気で、父親を慕うかのように国家指導者個人を敬慕する家族主義が色濃い地方の政治意識の後進性か、いずれにしても時代錯誤な感じは否めない。

全人代に出席したチベット自治区代表者が身につけていた国家指導者バッジ(出所:Caixin Online

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