2024年4月20日(土)

WEDGE REPORT

2016年4月4日

米国も特殊部隊が暗躍

 米国もデルタフォースなどの特殊部隊の動きが活発になっている。3月にはシリア東部で、米特殊部隊がISのナンバー2であるハジ・イマームの車両を武装ヘリで追跡し、イマームを殺害した。当初は情報収集のために生きたまま拘束することを狙ったが、イマームが逃走したためミサイルで攻撃した。

 米国は現在、シリア北部のクルド人地域に約50人の特殊部隊を投入。クルド人の武装勢力「人民防衛隊」(YPG)の軍事顧問として、助言などを与えている。またイラク北部のクルド人自治区の首都であるアルビルには、約200人のデルタフォースが駐留している。

 このデルタフォースはISの首都であるシリアのラッカやモスルにスパイ網を張り巡らし、衛星監視、交信やメールのやり取り傍受などを通じて、アブバクル・バグダディらISの指導者の行方を追跡、拘束や殺害の機会を狙っている。

 米軍関係者によると、米軍は3日に1人の割合でISの幹部を殺害、このためもあってISの指揮命令系統はずたずたの状態だ。米国は組織の弱体化が著しいと判断しており、近くラッカ制圧とイラク第2の都市モスルの奪回作戦を開始する見通しだ。オバマ政権はこれら作戦に先だって、幹部らへの攻撃をさらに強めたい考えだ。

 イラク駐留の米特殊部隊は昨年5月にシリア東部でISの経理担当の責任者を殺害、その妻を拘束してISの財政状況やバグダディの行動範囲などの貴重な情報を入手した。また10月には、イラク北部のISの捕虜収容所を急襲、処刑される寸前のクルド人約70人を救出した。

 暗殺を恐れて姿を消しているバグダディは近い将来、尊敬していた国際テロ組織アルカイダの指導者、オサマ・ビンラディンが潜伏先で米海軍特殊部隊シールズに殺害されたのと同じ運命をたどるのかもしれない。


  
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