世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月19日

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 ウォールストリートジャーナル紙は、3月16日付で「中国の経済的不調:全人代は表面を繕っているが、困難の兆候は積み上がっている」との社説を掲げ、中国経済の先行きへの悲観論を展開しています。社説の要旨は次の通り。

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 全人代は第12次5カ年計画を採択し、共産党は堅実にやっていくと約束し、終了した。李克強首相は雇用を維持し構造を変える、来年6.5%成長を達成しないことは考えられないと述べた。

中国経済落ち込みの理由とは

 今回の全人代で黒龍江省知事の陸昊は国営のロングメイ鉱山会社を、雇用を維持したうえでの構造改革のモデルであるとし、解雇された労働者の収入は新規雇用もあり、少しも減っていないと述べた。これに対し炭鉱夫たちが本当ではないと抗議の声をあげた。陸氏はすぐ、虚偽の報告をしたものを罰すると前言を取り消した。中国の指導者は経済状況について誤った情報を得ている。会社の経営者は融資を受けるために財務上の問題を隠している。

 中国の経済困難の核心には、賃金の高騰につながっている労働力の減少がある。労働争議も増加している。

 金融上の問題もある。実質金利が上がっている。中国人民銀行は信用供与を拡大しようとしているが、銀行融資はゾンビ企業の延命や不動産投資投機に回っている。

 2008年の金融危機に際し、中国は大きな刺激策を実施した。インフラ整備や工場建設がなされた。これはうまくいき、経済は成長を続けた。しかしコストも高かった。今、工場の操業は能力以下になり、債務レベルは倍増し、多くの投資は回収できなくなっている。

 今の構造改革は1990-2000年代の朱鎔基の時(4500万人解雇された)より厳しくないと楽観論者は言っている。しかし今回の失業者の状況はもっと悪くなろう。15年前、中国は国有住宅を払い下げ、国民の懐を温めた。民間住宅の建設がブームになり、雇用が増加し、輸出も増えた。今回は、都市の住宅需要は満たされており、輸出は昨年、減っている。

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