赤坂英一の野球丸

2016年4月27日

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 先日、久しぶりに青学大陸上部・原晋監督に会った。今年1月の箱根駅伝で見事2連覇を達成、4月はNHK〈サンデースポーツ〉のマンスリー・キャスターに招かれている。同月17日には東京ドームで巨人−広島戦を取材し、両チームの試合前練習に鋭い視線を走らせ、選手がキビキビ動いているか、緊張感を持って練習に取り組んでいるか、抜かりなくチェックしている姿が印象的だった。

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 巨人・高橋由伸監督へのインタビューでは「巨人を優勝させたらメジャーリーグで監督をやってください」と提案、由伸監督を苦笑させていたが、こういう大胆な発言が原監督の持ち味である。私が来年の箱根駅伝も勝てますかと聞いたときも、「いけると思いますよ。今年のメンバーが残ってますから」と手応えのほどを語っていた。NHK〈サンデースポーツ〉でも「今年の目標は箱根3連覇。大学駅伝3冠(箱根、出雲、全日本)です!」と堂々と宣言していたのだから恐れ入る。

「ワクワク大作戦」、「ハッピー大作戦」

 そんな原監督の指導力とアイデアマンぶりは陸上界でよく知られているところ。青学大陸上部の選手たちには目標設定シートを配布し、そこに個人の目標となる具体的な数字や言葉を書かせる。そのシートを叩き台にして選手同士でミーティングをさせ、互いにどのような練習が必要かを徹底的に討議させる。
そして、チーム全体が取り組むプロジェクトとして、昨年は「ワクワク大作戦」、今年は「ハッピー大作戦」と命名し、若い選手たちを乗せるだけ乗せて2連覇を勝ち取った。要するに、言葉の力を知っている監督なのだ。

 さらには、関東学連に限定されている箱根駅伝参加資格のオープン化を訴え、リオ五輪男子マラソン日本代表に青学大の下田裕太を選出するべきだと主張。次々に新たな構想をぶち上げ、問題提起をしては、陸上界にとどまらず、一般社会の注目を集めている。最近では批判も浴びているとはいえ、駅伝や陸上への関心を高めているのは間違いない。

 原監督は広島県三原市出身で、陸上の名門として知られる世羅高、中京大を経て陸上部第1期生として地元の中国電力に入社。故障で退部せざるを得なくなり、一介の営業マンとして頭角を現したという異色の経歴の持ち主である。当時も様々な提案営業のアイデアを考え出し、地元RCC(中国放送)ラジオに持ちかけ、広島東洋カープのナイター中継とのコラボ企画によるCMまで実現させた。これがその後、青学大の監督に転身するきっかけにもなっている。そうした経緯については、私が構成をお手伝いした原監督の自叙伝『魔法をかける/アオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』(講談社)に詳しい。

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