赤坂英一の野球丸

2016年4月28日

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 広島・新井貴浩が今季初めて4番に座ったのは4月19日、横浜スタジアムでのDeNA戦だった。2000本安打まであと8本と迫っていた中、かつての〝指定席〟で大記録を達成させようという緒方孝市監督の粋な計らいである。照れ笑いを浮かべて、新井は言った。

 「とくに意識はしてないです。4番でも6番でも、勝ちにつながるバッティングをするのは一緒。2000本への意識? 全然(ない)。あと3本ぐらいになってからじゃない?」

広島のミスター

 そう笑っていた新井を、緒方監督は「うちのミスターや」と称している。そう言えば、広島には「ミスター赤ヘル」と呼ばれた山本浩二(選手歴1969~86年、のち監督)以降、この称号を与えられた選手が絶えて久しい。

 久しぶりの4番がやはり少々プレッシャーになったのか、その日は3打数無安打。22~24日、本拠地・マツダスタジアムでの阪神3連戦、新井が兄貴と慕う金本知憲監督の目の前での達成も期待されたが、ここでもあと1本届かず。その次のカード、26日の神宮球場、ヤクルト戦での到達と相成った。この〝足踏み〟がまた、いかにも新井らしい。

 私が初めて新井に会ったのは入団1年目の1999年2月、日南キャンプの最中だった。先輩の広島担当記者に食事に誘われ、宮崎市内の店を訪ねると、記者や球団関係者が集まったボックス席の隅に、一際背が高く、やせっぽちで坊主頭の青年が肩をすぼめて座っていた。それが前年98年秋、ドラフト6位で駒大から入ったばかりの新人・新井だった。

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