前向きに読み解く経済の裏側

2016年6月13日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 日本経済は、バブル崩壊後の長期低迷期にデフレ状態が続いていたため、インフレとは無縁の経済になってしまったような錯覚に陥っている人も多いようです。しかし、冷静に考えると、インフレへの備えを欠いている状態は相当危険なものだと思われます。黙って銀行に預金しているだけでは、インフレで預金が目減りしてしまうかも知れません。今回は、インフレの可能性とリスクについて考えてみましょう。

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日銀総裁が2%のインフレを目指す意味

 日銀総裁が、インフレ率2%を目指しています。日銀総裁が当初目指していた経路(資金が世の中に出回ることでモノの値段が上がる)が実現しなかったため、当初の想定よりは時間がかかっていますが、景気の回復により、すでにインフレは始まっています。原油価格暴落の影響を除けば消費者物価指数は前年比プラス1%程度となっているのです。

 このまま景気回復が続けば、労働力不足による賃金上昇が物価を上昇させるでしょう。遠からず2%の目標は達成され、その後は2%前後のインフレが続くというのがメインシナリオだと思います。

 仮にインフレ率が2%に達しないとしても、インフレへの備えは必要でしょう。インフレ率が現状程度(原油価格暴落の影響を除いて年率1%程度)で推移したとします。日銀の目標は達成されていないので、ゼロ金利は続きます。そうなると、銀行預金が10年間で10%ほど目減りすることになるのです。

 マクロ経済的には1%のインフレでゼロ金利が続くというのは、心地よいと思いますが、個々人の資産運用に於いては、決して心地よいものとは言えないでしょう。

 

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