金融万事 塞翁が馬

2016年5月18日

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渡邊竜士 (わたなべ りゅうし)

トムソン・ロイター・マーケッツ株式会社 執行役員

トムソン・ロイター・マーケッツ株式会社 執行役員。1972年東京生まれ、米国育ち。 慶應義塾大学 総合政策学部卒業、野村證券株式会社入社。国内外の機関投資家向け営業を経て、マネージング・ディレクター就任。セールストレーディングやヘッジファンド向けビジネスの責任者に。香港でアジア戦略に携わった後、2014年1月退社。2014年6月トムソン・ロイター入社。

 4月28日の金融政策決定会合後、黒田東彦日銀総裁は「政策効果の浸透度を見極めていくことが重要と判断」と追加緩和の見送りについて説明をし、政策効果が「すでに金利面に表れており、今後、実体経済や物価面にも波及していく」と自信を示している(ロイター)。

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 マイナス金利政策が導入されて約3カ月、金利面の効果としては、短期金融市場(無担保O/N物レート)や、住宅ローン金利等の下落幅が預金金利のそれを上回っている。それでは、今後、具体的に何を、いつ頃期待すればよいのだろうか?

 経済を生産面から考えた場合、企業がどのように資金調達費用の低下を活用し、好循環を生み出せるかがカギとなる。ロイター企業調査(日本における資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象とした調査)では、「調達コストの低下をどう活用するか」(注1)という質問に対して最も多かった回答は「設備投資」(37%)だった(図表1参照)。

 「マイナス金利による資金調達コスト低下が2016年度設備投資計画にプラスに寄与しているか?」(注2)という問いかけに対し、何らかの寄与を認めている回答は合計35%とほぼ同水準である。仮に3割強の企業が設備投資を強化するとして、それが充分かどうかは評価が分かれるところだろう。

法人企業景気予測調査(6月13日公表)の
設備投資計画に注目

 財務省の法人企業統計によると、2015年10-12月期の設備投資(金融業・保険業を除く全産業)は約10.5兆円、前年同期比8.5%増で、11四半期連続で増加している。一方、今年1-3月の法人企業景気予測調査(3月11日公表、2月15日時点の調査)では、2016年度の設備投資計画(ソフトウェア含む、土地除く)が前年度比6.6%減となっており、今後はこれらの設備投資関連統計が実体経済の先行指数としてより注目を浴びる。

 6月1日朝8時50分、公表予定の法人企業統計調査では1-3月の設備投資が分かるが、マイナス金利の実施が2月16日だったことを鑑みると、ここでの結果は時期尚早かもしれない。6月13日朝8時50分、公表予定の法人企業景気予測調査における来年度設備投資計画が目先のイベントだ。

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