2024年4月20日(土)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2009年12月24日

天野園長: そうですね。やっと字が書けるようになって、自分の名前だけ書いてみるといった程度でしょうか。よく言われることかもしれませんが、年賀状自体は、人と人との「体温のあるやりとり」ですので、個人的には大事にしていきたいと考えています。もちろん手間暇かかることですが、CMでも言っているように「(年賀状は)大変だから大事なんだ」というのは、納得です。私は卒業生からもらうことが圧倒的に多いのですが、やはり一人ひとりの宛名を書きながら、その子の幼稚園時代を思い出しつつ、もらった年賀状を見て、その後の成長を垣間見たりできますので、非常に嬉しいものです。

―― 天野先生は毎年300枚以上もの年賀状を書いていますよね。私なんかは「宛名も印刷してしまえば良いのに」と思ったこともありましたが、そういった思いを抱きながら書かれていたのですね。それにしても、天野先生がどれだけ子どもたちから慕われているかよく覗えます。

複雑な思いと年賀状

天野園長: でも、単純に喜べるというわけでもないんですよ。誤解はしてほしくないのですが、幼稚園を卒業しても、毎年毎年、年賀状を送ってくれるのはもちろん本当に嬉しいことです。しかし、同時に、「この子は新しい環境で、新たな交友関係を築けているかな」と、ふと心配に思うこともあります。大げさに聞こえるかもしれませんが、年賀状に限らず、卒業後に何度も幼稚園に遊びに来てくれる子がいると、嬉しい反面、そのような気持ちを抱くこともあります。中には実際に、「小学校が面白くない」と悲しいことを言う子もいますので。

―― それだけ幼稚園が楽しかった、思い出深かったという単純な喜びにはならないのですね。

天野園長 :今が充実していれば、過去は振り返らなくても良いという考え方もできますからね。相反する気持ちではありますが、子どもの成長をずっと見ていきたいという思いと、いつまでも幼稚園時代のことなんか思い出していないで、前を向いて生きていきなさい!という思いがあります。

―― 天野先生にとっては複雑な気持ちで書く年賀状なのですね。さて、お正月本番と言えば、子どもにとっての一大イベントはやはり「お年玉」ですね。

天野園長: お年玉については、やはり子どもはもらえば嬉しいものなので、あげて良いと思います。幼児期の子どもは、基本的には金額よりももらえた袋の枚数や、中身が重い方が嬉しいと感じるものなので、500円分を100円玉で渡すといったように、お年玉をもらうという「行為」自体に重点を置くことがポイントかもしれません。幼稚園でも、中には「今年のお年玉は15万円もらえた!」などと言う子もたまにいますが、小さい頃からお金に執着する子になってしまわないように親は気をつけてあげたいものです。

子どもが大金を手にした時は…?

―― そんな小さい頃から大金をもらっていては、お金に対する価値観がおかしくなってしまいそうです。親が気を付けていても、おじいちゃん・おばあちゃん、親戚のおじさん・おばさんがめいっぱい渡してしまったらどうしましょう?


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