2024年5月2日(木)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2009年12月24日

天野園長: その時は、親がきちんと子どもに説明をした上で、とっておいてあげるのが良いでしょう。以前生徒の中で、「お母さんにお年玉を使われた」と言っている子がいました。もちろん「子どもがもらっている分、親はあげているのだから」という考え自体は間違ってはいませんが、「あなたのためにきちんと貯金して、必要な時に使うからね」としっかり説明して親が保管しておけば、小さな子どもでも納得できるはずです。

―― どんなに小さな子どもでも、親が勝手に使ってしまうというのは良くないことですね。小さな頃から大金を手にしたり、親の勝手な行動を目の当たりにすることで、心が貧しい子どもになってしまう気がします。

親子の絆を深めるお正月遊び

天野園長: そうかもしれません。話は少し戻るのですが、そもそも、今は親戚で集まること自体減っているかもしれませんね。幼稚園の子どもたちの声を聞いていると、年末年始は家族で旅行に出掛けるという話が非常に多い。先ほどもお話ししましたが、旅先で観光したり、おいしいものを食べたり・・・ということは悪いわけではありませんが、もっと幼児期に大切なことは、「遊びを通じて、子どもと親がどれだけ楽しい時間を共有したか」ということです。これが、親子の絆を深めることにつながります。

―― 具体的に、お正月に親子で取り組めるおススメの遊びは何でしょう?

天野園長: やはり、昔からある、伝統的なお正月ならではの遊びです。カルタ、トランプ、福笑い、すごろく、絵合わせ、坊主めくりなど、家族みんなで額をつきあわせてできるような遊びですね。幼稚園でも、年明けに「あそびの部屋」というものを開催して、お正月遊びや伝承遊びを、学級を越えて行います。それに備えて、冬休み中に、家庭でたくさん遊んでもらうように親にも伝えています。

―― 親が遊びを知らない場合もありますか?

「犬も歩けば棒にあたる」でおなじみの「いろはカルタ」(「ことわざカルタ」)

天野園長: そうなんです。だから、幼稚園では「あそびの講習会」を開き、先ほどの伝統的な遊びを親に教えることもしています。例えば、先ほどカルタと言いましたが、キャラクターものではなく、「犬棒カルタ」がお勧めです。いわゆる「いろはカルタ」で、「い」は「犬も歩けば棒に当たる」と言えば分かりますよね。これを実際に講習会でやってみると、言葉の意味を知らない親がたくさんいるのです。昔は、遊びに取り組む中で、ことわざのような生活に必要な知恵を自然と身に付けていくということができたのですが、すでに親たちの世代からそのような機会も少なくなっているのでしょう。ちなみに「絵合わせ」は知っていますか?

絵合わせの一種「動物合わせ」。3枚のカードを集めて、動物を完成させていく。

―― やったことありません。どんな遊びですか?

天野園長: 一例としては、「動物合わせ」といって、3枚1セットで動物の絵が描いてあるカードをトランプの要領で引いていくというものですが、これも非常に良い遊び道具なんですよ。動物の姿形を覚えられることはもちろん、カードを引く際に「象の胴体をください」と言うような、自分の集めたい動物のカードを伝えるやり取りをするので、それを重ねていくうちに、相手が何を集めているか考え、「推測」する力が付きます。


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