世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月21日

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 石油問題の権威のダニエル・ヤーギンが、5月15日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙掲載の論説で、石油価格はこの秋、バレルあたり50ドルぐらいに落ち着くであろうが、抜本的な経済改革を進めようとしているサウジは、改革推進のため石油の増産を続けるであろう、と述べています。論説の要旨、以下の通り。

 石油価格はこの秋には、バレルあたり50ドル程度に落ち着くだろう。
米国のシェールオイル生産者は生産コストを劇的に減らしたが、さすがにここにきて息切れし、存続を最優先に投資を大幅に削減した。米国の産油量は、本年末には2015年の1日970万バレルのピークから100万バレル以上減るだろう。他方2020年までには、世界の石油消費量は本年の1日9560万バレルから1日570万バレル増える可能性がある。

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1バレルでも市場シェアをイランに渡したくない

 米国のシェールオイルは、生産の開始が短期でできるので、消費増に対応するだろうが、対応の中心はサウジや他の湾岸産油国だろう。サウジは、副皇太子が、油価は市場が決めるもので、サウジはそれに従うと述べ、新しい石油大臣のハリッド・アルファリは、サウジは生産量を現在の1日1020万バレルから1200万バレルに増産できると述べた。

 その上、サウジは1バレルといえども市場のシェアをイランに渡したくないと思っている。サウジとイランの緊張の高まりは今日の石油市場の中心要素である。

 サウジは経済を多様化し、世界最大の政府系投資基金を作って開発を促進し、石油以外の収入を2030年までに少なくとも6倍にする計画である。計画はまたイランとの競争、イスラム過激派との競合、米国との関係の冷却化などの地政学的力によっても影響を受けている。

 これらの目的を伝統的社会が決められた時間内に実現することは大きな挑戦である。しかし皮肉なことに石油依存の軽減は、確実な石油収入なしには実現できない。サウジは世界で最も低い産油コストを利用して、競争が激しさを増す世界のエネルギー市場で、生産を拡大し、競争力を高めるだろう。

出典:Daniel Yergin,‘Where Oil Prices Go From Here’(Wall Street Journal, May 15, 2016)
http://www.wsj.com/articles/where-oil-prices-go-from-here-1463345204

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