対談

2016年6月22日

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独りになっても人間関係からは逃げられない

左藤:農業では、独立希望の参入者は増えているんですか?

久松:やりたいと思う人数はたぶんそんなに変わっていなくて、ただ手に入る情報や教えてくれる人は増えているから、参入まで行き着く人は増えているんじゃないかと思います。でも10年続けるのは大変。元気が良くて優秀な奴でも辞めていく。

左藤:それは資金繰りが厳しくなって?

久松:左藤さんの話と似ていて、一人で面倒なことを背負うのに耐えられない人が多い。でも職人肌の人ほど「助けて」と言えないんです。みんな助けてくれるし、親方も離れて見てはいるけど、何かあれば手を差し伸べてくれるのに、挨拶もせずに逃げていってしまう。それをやると復帰できなくなるからもったいないなと思います。その人の人生だからもちろん自由だけど、あれだけ「持続可能性」とか言っていた奴が、いろいろな人を巻き込んでおいて簡単に逃げんなよ、と言いたい気持ちもちょっとある(笑)。

ガラス作家の左藤玲朗さん(左)、農家の久松達央さん(右)

左藤:どういうきっかけで心が折れるんですか? 明日は我が身なので興味があるんです(笑)。

久松:やっぱり原発事故で折れた人は多かったですね。でも、潜在的に辞めたかった人にはいい辞めどきだった部分もあるのかな。売る力、作る力のない人から順にやられていったように見えましたから。辞めるきっかけが必要だったのかも知れない。

 自分も頭でっかちに農業を始めたクチだからすごくわかるんだけど、有機農家にはもともと原発を批判していた人がすごく多かったんです。批判してきた自分の野菜が原発由来の汚染への不安で売れなくなった時、振り上げてきた拳を下ろす場所がなくなってしまった。それはあまりにも残酷な出来事だったとしか言いようがありません。

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