世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月22日

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 在ニューデリー政策研究センター教授のブラーマ・チェラニーが、Project Syndicateに6月14日で掲載された論説において、アフガニスタンにおけるタリバンの攻勢と戦争が終わるかどうかは、パキスタンにかかっており、米国はパキスタンによるタリバンへの聖域提供を止めさせるため、対パキスタン経済・軍事援助を梃子に使うべきであると述べています。論説の趣旨、以下の通り。

攻勢を強めるタリバン

パキスタンの国旗(iStock)

 アフガニスタンでタリバンが再び攻勢を強めているが、米国の歴史で最も長い戦争が終わらない重要な理由はパキスタンである。米国はビンラディンに続いて、タリバンの指導者マンスールもパキスタン領内で殺害したが、これはマンスールをかくまっていないと言い続けたパキスタンの欺瞞を再び明らかにするものであった。

 オバマ政権の政策は、パキスタンの軍部の支援を受けて、タリバンと取引し和平を実現することであった。そのためパキスタンおよびタリバンとの対決を避けた。アフガニスタンのタリバンは、米国のアフガン攻撃が始まってすぐ、パキスタンのバロチスタン州に指揮命令の本部を設置したが、米国は最近になってようやくバロチスタン州をドローンで攻撃した。

 米国は昨年7月にタリバンの指導者に任命されたマンスールと交渉しようとしたが、マンスールが非妥協的であったので、オバマ政権は遅まきながら、タリバンに対して飴ではなく鞭、それも大きな鞭を使うようになった。しかし米国がアフガニスタンでの戦争に終止符を打つためには、基本戦略を再考しなければならない。

 現実は、タリバンのパキスタンでの聖域をなくさない限り、タリバンを打ち負かすことや、タリバンとの和平を実現することはできないということである。聖域をもっているテロリストグループを相手に、テロ撲滅運動が成功したためしはない。

 端的に言えば、パキスタン軍部を買収しようとしても無駄である。過去14年間、米国はパキスタンに330億ドル以上の援助と、F-16、P-3C、対艦ミサイルハープーン、対戦車ミサイルTOWなどの攻撃兵器を供与した。しかしパキスタンはタリバンに聖域を提供し続けた。

 米国は対パキスタン支援をタリバンに対するパキスタンの具体的行動に結びつけるべきである。と同時にISI(パキスタンの情報機関)をテロ団体に指定し、パキスタンに強いシグナルを与えるべきである。

 オバマは昨年10月アフガニスタンへの関与を続ける決定をしたが、これは米国がアフガン・パキスタン国境の間違った側で戦争を続けることを意味する。多分彼の後継者が、アフガニスタンでの戦争の終結のカギはパキスタンにあるという事実を、遅まきながら認めることになるだろう。

出典:Brahma Chellaney,‘Obama’s Bitter Afghan Legacy’(Project Syndicate, June 14, 2016)
https://www.project-syndicate.org/commentary/afghan-war-obama-pakistan-by-brahma-chellaney-2016-06

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