2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月22日

 ブラーマ・チェラニーは、インドの著名な戦略家で、著作も数多くあります。この論説は、パキスタンと対立するインドの視点を強く反映したものとなっています。しかし、「インド要因」を割り引いたとしても、パキスタンがタリバンに聖域を提供していることが、タリバンに対する強力な支援になっていることは事実です。聖域はベトナム戦争のべトコンの例でも明らかなように、戦闘集団の戦闘継続を可能にするものです。

アフガニスタンの戦争を終わらせることが至上命令

 パキスタンは以前より、インドに対抗してアフガニスタンにおける影響力を維持、強化するためタリバンを支援してきたものであり、米国からの圧力があるからと言って一朝一夕にタリバン支援を止めるわけにいきません。

 チェラニーは、パキスタンのタリバン支援を止めさせるために、米国は対パキスタン支援を梃子に使うべきであると説いていますが、米国にとってパキスタンは重要なパートナーであり、いくらアフガニスタンの戦争を終わらせることが至上命令であるからといって、簡単に対パキスタン支援を梃子に使うわけにもいきません。

 パキスタンも米国もジレンマを抱えているのであり、問題解決の方程式は簡単なものではありません。アフガニスタン情勢は、和平への糸口を見出す努力は引き続き行われるものの、当分の間は戦闘が続くものと見なければならないでしょう。
  
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