前向きに読み解く経済の裏側

2016年7月25日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 皆が正しいことをすると、皆が酷い目に遭うことがあります。銀行破綻の噂を聞いた人にとって、正しい行動は直ちに預金を引き出すことですが、皆が預金を引き出そうとすると、銀行は本当に破綻してしまい、ほとんどの預金者は損をします。こうしたことを「合成の誤謬」と呼びますが、バブル崩壊後の日本経済の長期停滞も、合成の誤謬が原因だったのです。今回は、これについて考えてみましょう。

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日本人は勤勉に働き、倹約に努める素晴らしい人々

 日本人は勤勉です。かつて日本製品が世界を席巻していた頃、妬んだ外国人から「日本人はウサギ小屋に住む働き中毒だ」と揶揄されていたものですが、勤勉が素晴らしいものであることは、言うまでもありません。倹約家であることも、素晴らしいことです。浪費より倹約の方が良いに決まっています。

 江戸時代までの日本では、勤勉に働き倹約に努めることが、生きていくための条件でしたから、「正しい事が良い結果につながった」わけです。明治以降、バブル崩壊までは、人々が勤勉に働いて多くの物を作り、倹約に努めて消費を控えたから設備投資機械が数多く作られて経済が発展したのです。資金面から見ると、人々が勤勉に働いて倹約をして貯金をしたから、銀行が人々から預かった資金を設備投資資金として融資することが出来たのです。ここでも「正しい事が良い結果につながった」わけです。

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