今月の旅指南

2010年1月29日

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辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

 日本屈指の美術コレクションであり、国立西洋美術館設立の礎となった“松方コレクション”をご存じの方は多いと思う。川崎造船所(現川崎重工業)の初代社長、松方幸次郎が莫大な私費を投じ、1910年代後半から20年代にかけてヨーロッパで収集した美術作品のことだ。しかし、コレクションの指南役となった英国人画家フランク・ブラングィンの存在は、日本ではあまり知られていない。この展覧会は、そんなブラングィンと松方との関係を軸に、ブラングィン芸術を回顧する日本初の展覧会である。

フランク・ブラングィン「りんご搾り」 1902年 油彩 カンヴァス
リス・ファイン・アート Photo:LISSFINEART.COM ©David Brangwyn

 松方は彼の才能を高く評価し、多くの作品を購入した。また、ブラングィンは松方の美術品収集を助け、松方究極の夢、コレクションを公開する「共楽美術館」の建築デザインを手がけた。関東大震災に続く経済恐慌によってこの計画は幻に終わったが、実現していれば東洋一の西洋美術館の誕生、ブラングィン芸術の集大成となるはずだった。

 今回の展覧会には、世界8カ国37カ所の美術館、コレクターが所蔵するおよそ120点のブラングィン作品が集結する。鮮やかで濃厚な色彩の絵画をはじめ、同時代の装飾芸術運動に根ざした陶器や家具のデザインなど、彼の豊かな才能を楽しむと同時に、松方コレクション誕生の物語を紐解いてみたい。

 

 
 
 
 

フランク・ブラングィン 伝説の英国人画家─松方コレクション誕生の物語
東京都台東区・国立西洋美術館(山手線上野駅下車)
〈問〉03(5777)8600
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

◆「ひととき」2010年2月号より


 

 


 

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