WEDGE REPORT

2016年7月26日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

 環境問題に関心が高まった韓国で近年話題になっているのが、韓国で「微細塵」と呼ばれている「PM2.5」だ。多くのマスコミで「微細塵」が健康に深刻な影響を与えると報じられ、最近は天気予報で必ず「微細塵」の数値やレベルが言及されるようになった。「微細塵」が予想される日には「外出を控えるように」、「マスクを着けて」と対策を勧めるなど「微細塵」の恐怖は日常の近くで感じられる。

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PM2.5の「元凶」は中国か、韓国か?
「マスコミ」と「政府」を信じない国民たち

 多くの韓国国民がPM2.5の原因として考えているのは中国の大都市や工業地帯から流れてくる排気ガスだ。ところが、なぜか韓国マスコミと政府は中国ではなく、韓国をその主な原因と論じている。

 国際自然保護団体グリーンピースのソウル事務所は、6月2日にホームぺージで「韓国に影響を与えている微細塵のほとんどが中国から発生していると思う人が多いが、その主な原因は韓国内の石炭火力発電所だ。中国の影響は30~50%くらいに過ぎない。むしろ中国は石炭火力発電所の閉鎖を進めているため、大気汚染度は下がっている」と主張した。

 この発表は韓国マスコミによりそのまま引用、報道され「大気汚染は中国より韓国内の火力発電やディーゼル車が原因」という記事がしばらく相次いだ。

 しかし、国民はこれに納得しなかった。韓国内で発生する排気ガスも一因であることは間違いないが、朝鮮半島の衛星写真を見ても雲のような微細塵が中国から移動してくることが確認できるのにその主な原因を「韓国内の問題」にする報道に首を傾げたのだ。やがてグリーンピースソウル事務所の代表が中国人であることが明らかになり「政府やマスコミの発表に中国の息がかかっているのでは」という疑惑が広がった。

 ところが、政府はこれに反発するかのような行動に出た。韓国内のディーゼル車と焼肉屋、鯖焼きの店で発生する煙が微細塵の主な原因であるから規制を強化すると発表したのだ。国民は原因が「中国」だと思っているのに、マスコミと政府はどうしても「韓国内」のせいにしたいらしい。 

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